小説・仮面ライダー剣「たそがれ」


小説・仮面ライダー剣「たそがれ」
*ネタバレ注意です。


小説・仮面ライダー剣「たそがれ」


あらすじ


どこかの古いお家。
少年が仮面ライダーの人形で遊んでいた。その様子を、彼女の祖母が見つめていた。
彼女は、少年に本物の「仮面ライダー」について語り始めた。
祖母は語る。
本物の仮面ライダーは、四人。
アンデッドという怪物達が人間を襲い始めたとき、それと戦うために現れた。
彼等は、それが運命であったかのようにアンデッドたちと戦ったという。
一人は自分が選ばれた者であるという誇りのため、一人は自分の中の弱さ・闇と戦うため。
そして一人は、夢のために。
少年は、「その人は『仮面ライダー』になるのが夢だったの?」と祖母に問いかける。
彼にはその人が自分と同じように思えたのだ。
祖母は語る、
その人の夢は世界中の全ての人を護りたいというものだったと言う。
そして、最後には『仮面ライダー』になるという夢をかなえたのかもしれない、と・・・
彼女は四人目の『仮面ライダー』についても語った。その人は、とても素敵な人だった。だが、彼はアンデッドもあったと言う。
少年は混乱したまま外に出る。
その時、「仮面ライダーが好きなのかい?」と、古臭い容貌の若い男に声をかけられる。
祖母は若者を見て驚く。彼女は涙を流しながら微笑み、若者と語り合った。
若者は彼女の健康を案じながら過去の思い出について語る。
アフリカの内戦地で人間とも獣ともつかない怪物が現れ、両親を失った子どもたちを戦場の外に連れ出したというニュースを見たと。
そして、若者と祖母は最後の言葉を交わしあい、しばらく無言で見つめ合った。
庭に降りてきた若者は、少年に名を尋ねる。
少年の名は、「はじめ」だった。数字の『一』と書いて、はじめ。
若者も優しく笑いかけ、自分の名も始だと答える。彼は、少年の名が剣崎一真からもらったのではないかと言う。
「その人は、どういう人だったんですか?」と少年は尋ねる。
「……仮面ライダー」
若者は最後にそう答えると、何処かへと去って行った。
一が気が付くと、いつの間にか若者の姿は消えてしまった。
一は首をひねりながら、祖母のもとへ戻る。眠る祖母に、彼は問いかける。
「天音さん、さっきの人、どこかにいっちゃったよ。ねえ、天音さん」
祖母は幸せな夢でも見ているのか、素敵な笑顔を浮かべていた。

感想


実は私、最初にリアルタイムで「仮面ライダー剣」の最終回を見た時、呆然とするほど感銘は受けたものの、感涙はしませんでした。
あまりにもショックが大きかったからかもしれません。
そのショックを整理したのが、この超全集に掲載された小説を読んだ瞬間でした。
正直虎太郎や睦月が亡くなったのはショックでしたが、それでも幸福な生涯だったと天音ちゃんは言ってるので、おそらくそうなのでしょう。
そして、この一文が見事に私の涙線を決壊させてくれました( ;w;)
「いや。だがこの間、アフリカの内戦地で人間とも獣ともつかない怪物が現れ、両親を失った子どもたちを戦場の外に連れ出したというニュースを見たよ」
「あの人かしら?」
若者は小さく頷いた。

この時、剣崎が自らアンデッドになった真意が初めて理解できました。彼はそういう男なんです。どれだけ傷ついても人々のため戦う。だからあぁまでして始を救う道を選んだ。
もう人とは呼べない怪物の姿になっても、『夢』のため戦い続けている剣崎。その姿こそ、最高の仮面ライダーでしょう。
そして、「嗚呼、本当に剣崎は『仮面ライダー』だったんだな・・・!」と想い、涙が止まりませんでしたよ・・・!( ;w;)
私の中では、「仮面ライダー剣」という作品は「たそがれ」で完結しています。
ディケイド最終回も、宮下さんの小説も、私の中ではなかったことに又はパラレルになっています。
もちろん、椿さん主演の會川脚本で、『仮面ライダー剣 10Yearsafter』が出るなら歓迎はしますが。
この「たそがれ」は完璧なエピローグであり、「仮面ライダー剣」の物語を締め括るに最も相応しいのですから。
なぜ完璧なエピローグか? 
剣崎が「仮面ライダー」として戦い続けていること、始も彼の言葉を忘れずに運命と戦い続けていることをしっかり描いてくれたからです。
仮面ライダー剣超全集に掲載されていたこの小説。これは本当に読んで良かったと思えたものでした。


覚え書き


・天音の孫の名は「一(はじめ)」。
・天音ちゃんの年齢からみて、少なくともテレビ本篇から50年以上経過していると考えられる。
・睦月、虎太郎、広瀬さんは、この時代では既に亡くなっている。だが、天音曰く、みんな幸せな生涯を終えたと言う。
・アフリカの内戦地では、人間とも獣ともつかない怪物が現れて、戦災孤児たちを戦場の外に連れ出したという。
・アフリカでは、今だ内戦が続いている。
・橘さんは、全世界に医療ネットワークを開発した。
・橘さんはいまだ健在。
橘さんはいまだ健在。大事なことなので二回言いました。
・會川昇氏のtwitterでの発言によると、橘さんは剣崎を元に戻すために自らの体を実験台に使い、その結果寿命が延びてしまったと言う。

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小説・仮面ライダー剣「たそがれ」」への2件のフィードバック

  1. SECRET: 0
    PASS: 2613d5a34a7529ff10b77626702b9406
    はじめまして。
    ユウショウタです。
    ネットだとかなり高額で取引されていませんか、この超全集。
    自分も読みたいとは思っていますがなかなか手が出せません。
    ですから、こうした感想やあらすじを載せてくれる方がいて本当にありがたいと思っております。
    仮面ライダー剣は、自分にかなりの影響を与えた作品です。自分は小説を書いているのですが、随所に仮面ライダー剣を思わせる設定が出てきます。
    最終回の轍のシーンを見て、「仮面ライダー」とつかなければならなかった理由がわかりました。そして「たそがれ」においてもそれは変わりません。
    ブレイド最高です!

    いいね

  2. SECRET: 0
    PASS: 0f74ed4b8cbfafa64f5dcb69b16bcce5
    はじめまして。
    ご覧いただきありがとうございます。
    >ネットだとかなり高額で取引されていませんか
    >この超全集
    amazonでも5000円超過が普通ですからね・・・
    実は私も書店+図書館で読んだだけで、所有自体はしていません。
    [太字]カーリル[/太字]というサイトで所蔵図書館を検索できるので、宜しければお使いください。
    >仮面ライダー剣は自分にかなりの影響を与えた作品です
    私もそうです。少なくともライダーに関して言えば、今でも剣を超える作品はないと思ってます。
    >自分は小説を書いているのですが
    >随所に仮面ライダー剣を思わせる設定が出てきます
    分かりますw 好きな作品にはどうしても影響されますからね。
    宜しければ、またお見せ戴ければと思います。
    >最終回の轍のシーンを見て
    >「仮面ライダー」とつかなければならなかった理由がわかりました
    >そして「たそがれ」においても
    それは変わりません。
    確かに平成ライダーの中では、最も昭和ライダーに近い面がありますからね。
    「二度と人に戻れない」、「悲しみを仮面で隠す」、という意味では、剣崎の悲哀は彼等に近い物があります。
    >ブレイド最高です!
    好感度に関して言えば私も同意見です!

    いいね

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