(今更)ウルトラマンサーガを見てみた


結構好評でしたので、見てみました。(Ver.Normal)
そして、過去の心の傷が癒える、いい映画でした・・・!
(以下、ネタバレ注意)

あらすじ
ある日、どこかの地球。人々はとある若い少女達を残して消えてしまった。
彼女達は、子供達を守るため僅かなロボットを動かして、アーストロンと戦っていた。そんな彼女らのもとに、救世主・ウルトラマンダイナが現れた。圧倒的な力でアーストロンを打ち破り、彼女たちにガッツポーズを送った。

その頃、ウルトラマンゼロはバット星人との交戦中『誰か』に呼ばれ、別の宇宙へと旅立つ。光の国のウルトラマン達は彼を心配するが、セブンは息子を信じて見守るのだった・・・。
別の宇宙で行われるアスカ記念日。それはスフィアの侵攻から全ての命を守ったアスカ・シンへの感謝をする日だった。そんな記念日を茶化す、変わり者のパイロット・タイガがいた。そのタイガは無断発進し、嘗てのアスカの如き活躍を見せるが、何処か別の次元へと消えてしまう。
その後、誰もいない地球で、謎の宇宙船と交戦するゼロ。タイガは別世界に来て混乱するが、逃げ遅れた少年を救おうとして宇宙船と激突してしまう。間一髪ゼロが彼を救い、一体化するが・・・
ウルトラマンゼロは共に戦うよう説得するが、タイガは彼を拒否。少年を抱きかかえながら、物凄い運動能力で、突如現れたグビラから逃げ続ける。彼らを助けたのがウルトラマンコスモス。蒼き姿でグビラと戦い、おとなしくさせてしまう。
コスモスは青野ムサシになり、剣崎がトライアルEと戦った橋でタイガと、Team‐Uのリーダー・アンナ達と出会う。彼らは工場の中で、Team-Uが守っていた子供達と出会う。先ほど助けた少年はタケル。口が利けなくなっていた。

彼女達のいた地球。そこは鳥や動物、そして殆どの人間達が神隠しにあっていた。それはゼットンの仕業だという。彼らを嘲笑うバット星人。更にムダにデカいゴメスとグビラを召喚する。ムサシがコスモスに変身し、二体の怪獣相手に立ち向かう。
ゼロもタイガを無理やり変身させようとするが、小さかった。タイガが拒否していた故だ。ゼロは憤慨しつつも無理やり戦うが、グビラのドリルに振り回されて醜態を晒す。その場もコスモスが怪獣をおとなしくさせて場を収める。
夕陽の中じゃれあう二匹だったが、宇宙船によって爆殺されてしまう。
その後、夕食時にダイナがこの世界に来たことを、この世界の人々を励ましていたことを、そしてもういなくなったことを知るタイガ。先程のタケルはダイナを探しに行っていたのだ。そんな彼等に皮肉を言うタイガ。ゼロは何があったのか聞く。
タイガは、嘗てダイナが怪獣を倒した時、両親がその戦いに巻き込まれて死んでしまったのだ。彼らに対し、「僕らもやれることをやろう」と諭すムサシ。彼は人間と怪獣達(カオスヘッダーまでもが!)が平和に暮らす惑星・ジュランからやって来たのだ。ムサシは暗い雰囲気に包まれかけた子供達に、夢を叶えるよう頑張ろうと優しく励ます。

翌日、ゼットンが現れる。ゼットンはダイナを石に変えてしまっていた。コスモスやタイガ達は必死で子供たちを守るが、泣き出す少年を見てタイガの中のトラウマが蘇ってしまう。彼を叱咤するゼロ。だが、彼には変身することができなかった。
ゼロはタイガに厳しい言葉を浴びせるが、彼は泣き喚く。その時、偶然引っペがしたシールを見て、アンナ達が素人を集めたチームだと知る。
絶望に駆られて自棄になり、内輪もめをしていたアンナ達。そんな彼女達を奮起させたのが、防衛隊を訪ねてやって来た子供達だった。
アンナたちは子供たちのために嘘をつき、一丸となって戦い続けていたのだ。
それでも変わらない現実。
絶望が彼女達を潰しかけていた。

そんな彼女たちを見て、タイガはとうとう戦う決意を固めた・・・!
彼らを止めるアンナ。
だが、「俺たちを・・・、ウルトラマンを信じろ!」と彼女らを強く励まし、ゼロとコスモスが飛び立つ。
今度こそ巨大なる姿になったゼロ。そしてコスモス。

宇宙の闇の如く恐ろしき竜と戦うゼロとコスモス。
タケルも、嘗てゼットンの火球に怯んで手に取ることができなかったダイナの『光』を取り戻しにやって来た。
それでも一度泣き出して手を止めかけるが、
『あきらめるな・・・!』
どこからか聞こえるアスカの声に励まされ、ボロボロになりながら土を掘り返し続ける。
そして遂に『光』を取り戻した・・・!
その時、戦いに巻き込まれるタケル達をアンナが救いに現れる。タケルに代わって、アンナがその『光』をダイナに届けに向かう。
今度こそ逃げずに立ち向かう。そう胸に誓って。
そして、アンナの投げた光が、とうとうダイナを蘇らせた・・・!

ゼロ、コスモス、ダイナ。三人のウルトラマンがここに揃った。ゼロスラッガーが舞い、ダイナとコスモスの光線がゼットンの腕を貫く。
バット星人は問う。
「ウルトラマンよ・・・、なぜ我々の邪魔をする・・・!? なぜ、人間に寄り添う・・・!? 人間・・・、つまらない生き物・・・!」
そんな悪魔に対し、ゼロはこう答える。

「別に理由なんてねぇよ! ずっと昔から、そうやってきた・・・! ただ・・・、それだけのことだ!」

そして、三人の力を結集した光の矢がゼットンを打ち破った・・・!

「お前が人間の価値を語るなんざ、二万年早いぜ!」

だが、バット星人はゼットンと融合し、ハイパーゼットンとなってしまう・・・。
バリアやテレポーテーション能力で、ウルトラマン達を苦戦させるハイパーゼットン。
そしてコスモスが、ダイナが、そしてゼロが、エネルギー切れで次々に倒れてしまう・・・!
その頃、吹っ飛ばされたアンナは心肺停止の状態に陥る。必死で心臓マッサージを試みるTeam-U。だが、心音が止まってしまう。

そして、全ての命を弄ぶ神として君臨すると宣言するバット星人。
誰も守れないのかと絶望するタイガ。それでも、彼に立ち上がるよう励ますアスカとムサシ。
「限界を超えたとき、初めて見えるものがある・・・!」
「立つんだタイガ! ボクらはまだ、守れるんだ・・・!」

「本当の戦いは・・・」
「本当の戦いは・・・!」
「本当の戦いは、ここからだッ!」

そして、三人の『光』が、諦めない心が、奇跡を呼んだ・・・!
タケル達の声が届き、アンナが意識を取り戻した・・・!!
そして、新たなるウルトラマン『ウルトラマンサーガ』が誕生したのだ・・・!!!

テレポート能力にも屈せず、互角に戦うサーガとゼットン。
そして、アタシたちの力を信じてくれと叫ぶアンナ。メガフォン片手に、サーガの戦闘補助を行なう。
ゼットンを誘い込み、足元に罠を仕掛けて動きを封じたのだ・・・!

アンナの、子供たちの声に励まされ、サーガは、アスカは、ムサシは、そしてタイガは戦う。

そして、サーガの拳が、一兆度の火球を、絶望の魔竜を打ち破った!!!
ゼットンを打ち破り、地球にも生命が帰ってきた。
離れた親子たちも、無事再会を果たすのだった。

この地球の未来はこれからだ。その未来を見るため、タイガはもうひとつの地球にとどまることを決めた。
アスカは、嘗ての仲間たちにメッセージを送り、また何処かへ旅立つ。
ムサシはジュランに戻り、妻子と怪獣たちが待つふるさとへと帰っていった。

それぞれの未来に向かって歩むことを決めた三人。
ゼロは素晴らしき人間たちに別れを告げ、再び元の宇宙へと戻る。
そして、地球には『光』が戻ったのだった・・・・

感想
結論から言うと、上の上のウルトラマン映画、いや特撮映画でした・・・!

何が良いかと言うと、次の3つが挙げられます。

①震災を意識した作品であること。
2011年3月11日に起きた東日本大震災。
この震災に対してどう向き合うかは、特撮ヒーロー物の課題だったと思います。
311とそれ以降のヒーローについては、幾つかの作品ではこの問題についてしっかり向き合う姿勢が見られました。
(具体的にはゴーカイとかウィザードとか。ゴーバスやスマプリも良いところは行ってたけど、ちょっと惜しいんですよね)
しかし、特撮ヒーローと震災について考えた人は、こうした疑問が必ず沸き上がったはずです。

「ヒーローは強くてカッコイイけどしょせんお話だけの存在。現実で助けてくれるわけじゃない」と。
とは言え、流石は特撮ヒーローの原点にして金字塔のウルトラマン。
この疑問に対して、この映画でしっかり答えを示しました。
本作では、ウルトラマンに疑問を抱く青年・タイガが主人公です。
彼は、過去の経験からウルトラマンの力に対して否定的な態度を取り続けます。そんな彼に対して、ゼロは「お前が今はウルトラマンなんだよ!」と叱咤し、厳しく彼を叱りつけます。
この言葉がサーガスタッフなりの、上の疑問に対する答えなのでしょう。
即ち、

『現実世界にウルトラマンがいないのならば、自分がウルトラマンのように強く在るべきなのだ』

と。
ゼロの言葉は厳しいですが、そういうメッセージを子供達に伝えるものなのでしょう。サーガスタッフの、および長谷川先生の、厳しくも暖かい意思が伺える脚本でした。

そしてタイガは中盤まで煮え切らない態度を取り続けますが、防衛軍として必死に戦ってきたアンナ達を見て、とうとう立ち上がる決意をします。
アンナ達は、おそらく震災後に必死で復興に尽力した被災者達の象徴なのでしょう。

「絶望に負けてはいけない」

シンプルながらも熱いメッセージが伺える作品でした。

②コスモス、ダイナと、若干マイナーなウルトラマン(ファンの皆様、ごめんなさい)をピックアップしたこと。
この映画で、コスモスは以前漂っていたマイナスイメージを払拭できたのではないでしょうか?
ムサシは怪獣たちを宥めたり子供達を励ましたりする優しさを、アスカは人々の希望となり支える強さを魅せてくれました。
この二人がいい先輩となって、タイガを導いているわけです。先輩を蔑ろにせず、しっかりと立てた姿勢も評価できます。

③成長ドラマとしても秀逸
①でも書いた通り、タイガの成長ドラマとして秀逸でした。
恐らく少なからずの(被災した)子供達が、トラウマを乗り越えようともがくタイガに共感したのではないかと思われます。
加えて、自棄になっていたアンナ達Team-Uの面々が立ち上がり、ウルトラマンと並ぶまでに成長したドラマでもあります。
ウルトラマンに励まされアンナ達が、逃げていた過去と向き合い、立ち向かう人々のドラマも並行して描くのは見事というほかありません。

④ゼットン
ウルトラマンの中で、最強の敵というと私は次の4体を推奨したいところです。

・ゴーデス
・エンペラ星人
・ガタノゾーア
・そしてゼットン
(ゴーデスはちょっと贔屓入ってるかもw 不満な方は代わりにヤプールを入れてあげてくださいw)

『最強』を象徴し、かつ絶望的な強さを示す敵としては、ゼットンはこれ以上ないくらい適切でしょう。

人間(アンナ達)の努力が倒されるきっかけになるのも、人間の力で倒した初代ゼットン(そして帰ってきたウルトラマン最終回)に通ずるものがありました。
ちゃんと初代や帰マンのリスペクトができてるんですよね。
逆に微妙な点は次の2つです。

①ところどころ演出がベタ、というか陳腐なところがあった。
(例)タイガ達の無限シルエット、心臓殴ったら生き返ったとか・・・。

②あんまり初代ウルトラマン達が出る必要性がなかった。

あと、お年を召されているのはわかりますが、以前はふくよかなお姿をなされていた団次朗さんが、今作ではスッカリ痩せてしまっていたのが悲しいです・・・。

その他細かいツッコミとか

・ちゃんとアヤノさんが出てきた件。人妻の色気が出てますw
10年前の面影を残していますが、少女から女性になったという印象です。あの頃は若かったなぁ・・・(遠い目)
・タイガのプライバシーを尊重する姿勢を見せるゼロ。無闇に精神内を覗いたりもしない。ゼロ良いヤツw
・ムサシ君ってwww 確かに年上っぽく見えないのわかるけど、タイガ失礼すぎw
・スイカはどこで採れたんだよwww というかなぜ植物は消さないんだバット星人? ジワジワと絶望に追い込むため?
・左翔太郎「ちょ、エリザベス何やってんだ!?」(コーヒーを噴きながら)

・ニンジンを残し子供に馬鹿にされ、その後食べるタイガwww
「ニンジンサイコー!」
・ちゃんと領収証を店に残して買い物していたU-Team。こういう面で良識的です。鎧武でも似たような場面がありましたが、先にやったのは此方です。

薔薇社長的評価

戦闘シーン:中の上ですね。CG多めですが、巨大感を表現する特撮が多々使用されていたのが良かったです。
テーマ性:上の上ですね。震災後のウルトラマン映画として相応しいものだったと思います。
キャラクター:上の上ですね。アスカやムサシなどをピックアップしたのも素晴らしい。ゼロも萌えキャラでしたw
脚本:上の上ですね。震災を意識した上でメッセージ性の高いストーリーとなっていました。

総評:上の上のウルトラマン映画でした!

(今更)ウルトラマンサーガを見てみた」への3件のフィードバック

  1. 最初はAKBで食わず嫌いをしてテレビで放送されたのを見て泣きました。
    特にアスカの「信じてるよ、ずっと前から」という台詞には本当に泣かされました。
    ダイナが好きでよかったと心から思えました。

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    • コメントありがとうございます。
      私もAKBで食わず嫌いをしていたので、ホント予想外の出来でした。
      確かにダイナがお好きな方にとっては、本当に良い作品になったかと思われます。

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