仮面ライダー響鬼をオススメする人
・カッコいい大人が見たい人
・龍騎555キバの、暗いドロドロしたストーリーが嫌いな人
・渋い作風が好きな人
・中学生日記が見たい人
・高寺Pの作風が好きな人
・おっさん萌えな人
・ショタコン属性を持つ人
・妖怪好きな人
仮面ライダー響鬼をオススメしない人
・正義(笑)とか考えている中二病ぎみの人
・派手なヒーローのバトルが見たい人
・中高生が嫌いな人
・子供が嫌いな人
・エヴァンゲリオンの碇シンジが嫌いな人
・ウジウジした主人公(=明日夢)が嫌いな人
・退屈なストーリーが嫌いな人
・高寺Pと白倉Pの両方(の作風)が嫌いな人
・井上敏樹が嫌いな人
・きだつよしが嫌いな人
・一年間一貫したテーマで作られた作品が見たい人
・W~ウィザードの、所謂平成ライダー2期が好きな人
長所
・トドロキとザンキさんの師弟物語
これについては、全般的に一貫していました。「響鬼」はトドロキの成長物語だったともいえます。
「斬鬼、昇華」は泣きました。
井上さんはなんだかんだ言われていますが、トドロキの挫折と復活、そして師弟の別れを見事に描ききったと思います。
「俺、泣きませんから・・・!ザンキさーん!」
・桐矢京介
後半は京介の成長物語としては秀逸だったと思います。
確かにロクでもないクソガキだったんですが、終盤は少しずつではあるものの成長が垣間見られました。その証拠に、
・明日夢との早食い競争をヒビキさんに注意されて素直に改める
・勝手に退学した後ヒビキさんに叱られて恥を忍んで素直に復学
・なんだかんだで修行を真面目にやって鬼になる
恐らく、彼は「父親」的な存在を欲していただけなのでしょう。だからこそ、厳しくも暖かいヒビキさんという「父親」の存在を得たことで変わっていった。
ぶっちゃけ、明日夢よりずっと成長したかと思います。
・・・まぁマイナスがゼロになっただけから相対的によく見えるとも言えるでしょうw
・ヒビキさんのキャラクター
いつでも余裕を忘れず、常に大人として明日夢達に対応し続けたヒビキさん。
これは素直に憧れると思います。
平成ライダーには二つとない個性を獲得できたキャラクターでした。
・きださんの小説版は面白い
これは非常に面白かったです。ぶっちゃけ本編よりも気に入ってます。
最後の「悪が不滅であるように、正義の魂もまた永遠に受け継がれる!」というオチは最高でした。
短所
・明日夢がいらない
この作品の最大の特徴でありながら最も不要だったもの。
それが明日夢だと思います。
半年以上も「変わった気がします」で、何一つ成長が見られない。
お年寄りに席さえ譲れない甲斐性のなさ。
何かあるとウジウジ悩みだし、命がけで戦っている人間のもとへお悩み相談に行き、邪魔をする身勝手さ。
いい子ぶっている分、ある意味桐矢よりよっぽどタチが悪いかもしれません。しかもこんな小僧のどーでもいい日常ドラマなど入れるから、みんなが見たいはずの響鬼さん達の戦いは削られる一方。
これで子供人気が出るはずがありません。初代ウルトラマンで例えるならば、グダグダとホシノくんのドラマばかりで科特隊の話が全然描写されないようなものです。
仮に子供もしくは若者へのメッセージ性を重視するなら、一話完結でジュウレンみたいにゲストキャラを呼んで作ればよかったと思います。
W~ウィザードは「お悩み相談番組」と揶揄されることがありますが、正直響鬼前半の方がよっぽど「お悩み相談番組」です。しかも全く好感の持てない明日夢限定の特別仕様。
彼がきださんの小説版で削られた理由も分かります。そして私の意見は、大筋で「ユリイカ」において井上敏樹先生が仰ってくれましたことと、ほぼ同一のものです。
・バトルが地味
正直、平成ライダー史上最も地味なバトルシーンでした。
はっきり言って太鼓ドンドコドーンなんて
(;0w0)<ウゾダドンドコドーン!!
としか言いようがありません。ブレイドも地味でしたが、響鬼はそれに輪をかけて地味です。
和風にこだわりすぎて、子供が楽しめるような派手な必殺技を忘れているように見えました。
・桐矢京介
良い点にも挙げましたが、悪い点でもあることは疑いようのないことです。
確かに終盤改善されたとはいえ、非常に態度が悪いのは否めませんし、人としてどうかと思われる言動も数知れません。
しかし、逆に言えばそうした桐矢さえも改心させたヒビキさんの底力が凄いとも言えるでしょう。
それまで弟子を持たなかったヒビキさんを成長させる役割もあったのかもしれません。
・仮面ライダーのデザイン
正直、同じく和風ライダーである鎧武とどっちがライダーっぽく見えると言ったら、前者の方ですね。
まぁデザインだけで、中身が比べ物にならないのは言うまでもありませんが。
・魔化魍が敵として魅力が薄い
前後作やクウガを見れば分かりますが、魔化魍との交流やドラマがなく、ただ倒すだけの敵ゆえに、全然魅力がないんですよね。
たとえばクウガでも、凶悪殺人鬼グロンギに対する五代達の反応や感情・対立・悲しみ・恐怖などがきちんと描かれていました。剣では上級アンデッドとの対立・決着・和解などがドラマを盛り上げ、ファイズやカブトではオルフェノクやワームの存在・設定そのものがドラマの根幹に関わっていました。
例外は龍騎ですが、その代替として敵ライダーが宛てがわれました。敵ライダーはいずれも歴史に残るキャラクターばかりです。
そうです。ヒーロー側が魅力的なキャラクターでも、ヴィラン側がただ倒されるコマならば、ドラマは盛り上がりません。
・「変身!」と言わない(=ヒーローとしてのカッコよさを捨てている)
カリスがなぜヒーローとして成立したか? それは彼のドラマ性にもありますが、演出的な面も大きいです。
「変身・・・!」
当初はカリスは「変身」の掛け声を言わない予定だったらしいですが、森本さんのお願いによって追加されたそうです。その結果、カリスのヒーロー性は自然と高まったかと思われます。
長年の間、日本人は「変身」という言葉でヒーローが変身する習慣に慣れてきました。いわば、変身とは日本ヒーローの代名詞とも言えます。これはあの白倉ですら認めていることです。
故に、これを捨ててしまった響鬼は大失敗だったと思います。
・「ヒーロー」として正しくない行動
個人的に最も疑問に思ったのが、
犠牲者を見ても何一つその死を嘆くことも憤ることもないヒビキさん達。
これはヒーローとしては正しくありませんでした。
たとえば五代は、実加の涙を見て非道に憤り、戦いを決意しました。このシーンがあったから、みんなクウガに引き込まれたと言えるでしょう。
「こんな奴等のために、これ以上だれかの涙は見たくない! みんなに笑顔でいてほしいんです! だから見ててください、俺の変身!!」
ほかのライダーだってそうです。
真司は母親をモンスターに喰われた少女の涙を見て戦う決意を固め、巧は「戦うことが罪だと言うなら、俺が背負ってやる!」とその手に残った灰を見て決意し、剣崎も犠牲者を見て「なんてひどいことを・・・!」と憤っていました。
渡や良太郎も犠牲者が出たことを嘆き、翔太郎や弦太朗や晴人、そして進ノ介は悪の非道に対してヒーローらしい義憤を燃やしました。
天道や士は表面にこそ出しませんが、犠牲者の死に内心憤っていることはわかります。
仮面ライダーではありませんが紘汰ですら、人の死に憤る感性ぐらいは持ち合わせていました。
昭和ライダーもてつをの「ゆ゛る゛さ゛ん゛! !」に代表されるように、邪悪な怪人共に激怒していました。
ヒーローとは、理不尽な暴力に怒りを燃やし、その暴力から弱者を助ける存在でなければなりません。
だからこそ、響鬼さん達は犠牲者を見て怒る場面が必要でした。
勿論、
「プロだからこそ感情を露にしないのが大事」
「まかもう現象は自然災害みたいなものだから怒ったりすること自体が間違い」
そういった擁護もできるでしょう。
「だからどうした、そんなもんどうだっていい!」と私は言い返します。
仮面ライダーは「理不尽な暴力から弱者を守るヒーロー」であるべきで、「怪物との戦いのプロフェッショナル」である必要はないんですよ
(兼任は構いませんが)。
理不尽な暴力に怒り、犠牲者の死を悲しみ、一人でも多くの弱者を守ろうとする。
それでいいんですよ。弱者を慈しむ心を入れずして、プロフェッショナル描写など入れるなど、論外です。
アンデッド達の暴虐に怒りを燃やして戦った剣崎や、泣いてる少女を見過ごせず戦いに舞い戻ったボロボロ期の橘さん。
おのが欲望のため罪もない少女を誘拐した者に激昂した天道や、人の絆を利用するワームに激怒した加賀美。
彼らのほうが、私にはよっぽど魅力的なヒーローだと思います。
人の死に心動かされない部分をフォローするために、「鎮魂祭」を毎年開いているとか、ヒビキさん達が影で人々を助けられなかった悔しさに震えてるとか、そういう描写が必要でした。
よって、私には響鬼の鬼たちはヒーローとは思えませんでした。
ただの怪物退治をする、気のいいNPO法人を装ったおっさん。
それだけです。
正直、橘さんや剣崎よりも、よっぽど「職業ライダー」の印象が強いです。それも悪い意味で。
総括
鎧武ディケイドに次ぐ平成ライダー三大失敗作。
むしろキバの方が、名護さんという最高のキャラクターがいる分、まだマシに思えてきます。
まず、所謂前半について。
正直に言えば、平成ライダーの中でも屈指のつまらなさ。
どうでもいい明日夢なんかよりも、トドロキの方がよっぽど成長してましたよ。
どっかで言われてましたが、前半は「停滞」の物語なんですよね。問題点は、やはり明日夢サイドのドラマが冗長すぎにあるかと思われます。
前半の傾向は、ハム太郎のアニメ版に似てる気がします。あれも、ロコちゃん側(*ハム太郎の飼い主)の話とハム太郎側の話を並行してやってたけど、視聴者は「人間はいらんからハム太郎出せ!」って思ってしまうから人間パートが必然的にいらなくなります。それと似た感想を明日夢周辺の話に抱きました。
あと、「僕の中で何かが変わった」と、毎回のようにOP前で明日夢は言いましたが、結局何が変わったのかサッパリ理解できませんでした。
明日夢だけでなく、威吹鬼とあきらも、誰も彼もが停滞した関係を延々と半年間続けるだけ。トドロキとザンキさん以外は何一つ変わらない。関係性も人間性も人間関係も何もかもです。
他のライダーだって、半年もすれば殆どは何かしら変わりますよ。
前後作で言うなら、剣崎は不安定な若者から優しく強いヒーローへと成長を遂げ、天道は加賀美と友情を結び加賀美もまた優しさを抱えつつ強くなってゆきました。
渡ですら、恋愛感情を持ち、名護さんに異を唱えられるようになりました。
では、後半について。
逆に後半の方が話としては面白かったです。停滞しない分ドラマとしては面白く見れました。
が、やっぱり桐矢がなぁ・・・というのは理解できます。
ただ、桐矢は確かに不快なキャラではありましたが、根本的には多少ひねくれてるだけのかまってちゃんなクソガキに過ぎず、真に歪みきった人の命を何とも思わない人間(草加雅人や東條悟)に比べればよっぽどマシではないかと考えています。(この二人も、悪役としては嫌いじゃないですけど)
それにあのウジウジウジ虫くんな明日夢をどうにかするには、あのくらいの劇薬がなければどうにもなりませんでした。
私が白倉や井上氏の立場にいたら、シルバーブルーメみたく、真っ先に明日夢を魔化魍に喰わせて退場させますけどね(笑)血みどろにして子供がトラウマになるレベルで。
そんくらい、明日夢はいらないキャラクターでした。
では、
なぜ響鬼は失敗したのか?
これについても個人的な意見を述べたいと思います。
私は、高寺氏があまりにもクウガに拘泥しすぎて大事なことを見失っていたせいだと考えています。
響鬼が始まったころ、当時こんな声が大きかったのを覚えています。
「クウガの高寺だ! これは期待できるぞ!」
「これはダメダメなブレイド(※当時のヲタの評価)なんか、足元にも及ばない傑作になるぞ!」
そう、少なからずの方がクウガの再来を期待していたのです。
製作側も視聴者側も、「クウガ症候群」がピークに達していた時代だったのです。逆にいえばそれだけクウガという作品が凄まじかったという証左でもあります。でも、そこには「そうした作風を貫いたうえでメイン視聴者である子供が楽しむためには?」という視点が欠けていた。だから人気が出なくなり、遂にはプロデューサー交替騒動へと発展してしまった。
結論を申し上げますと、
「子供のことを考えない作風にした」ことが響鬼の失敗した最大の要因でしょう。
故に私の響鬼に対する評価も高くありません。
仮面ライダーシリーズは、あくまで子供向け番組なのですから。
薔薇社長的な評価
・アクション:下の中ですね。
・ストーリー:下の上ですね。
・キャラ:中の上ですね。明日夢は下の下ですが。もっとちゃんとしたヒーローらしい描写を考えて欲しかったです。
・デザイン:下の上ですね。
総合点:下の中といったところでしょうか・・・
個人的には後半の方がドラマとしては面白かったかと。
戦闘シーンのみならば前半でしょうか。
ベスト5
1.四十五之巻(斬鬼昇華回。この話はガチで泣いた・・・)
2.四十三之巻(「俺は今心の中でお前を殴った」ってセリフがいい・・・)
3.四十四之巻(色んな意味で斬鬼さんの死が衝撃的だった回)
4.十六之巻(トドロキ誕生回。この作品一番の良心の誕生でもある)
5.なし
ワースト5
1.七之巻(席くらい譲れよ明日夢・・・)
2.一之巻(「俺は特撮番組を見ていたはずでは・・・」と困惑)
3.十五之巻(あぁいう性的なものを想起させる描写は不愉快)
4.特になし
5.特になし
その他オススメ回
上以外は特になし。
全体的には、トドロキと斬鬼さんに注目して見とけばいいと思います。