※それまでの感想は2015ニチアサをご参照ください。また、一部読者から苦情が届いたので一部修正しました。ご不快な思いをさせてしまい、失礼しました。
仮面ライダードライブをおすすめする人
・三条脚本が好きな人
・魅力的な怪人が好きな人
・松岡宏が好きな人
・カッコいいオープニングが好きな人
・熱血系作品が好きな人
仮面ライダードライブをおすすめしない人
・どんな事情があろうと悪役はみじめに死ぬべきと思ってる人
・三条脚本の作風が嫌いな人
・長谷川脚本の作風が嫌いな人
・緻密な物語を好む人
・警察を心から尊敬している人
・クウガ(というかクウガの警察描写)が好きな人
長所
・ちゃんとヒーローしてた進ノ介
ここ数年のライダーに比べると、(父親の件で暴走しがちな点と怠け者である点以外は)かなり安定していた、まっとうなヒーローモノの主人公でした。
子どもには優しい、暴走してもすぐに反省して改善する、比較的冷静に行動する、頭脳明晰。
平成ライダー全般を見渡しても、だいぶ安定した主人公だったのではないでしょうか。
そして初期名護さんみたいな正義キチガイでもなく、ある程度相手の事情を汲める人情味のある所もありました。
・詩島剛のドラマ
最初は自信過剰の調子こきマンに見えて「うわぁ・・・。大丈夫なのコイツ」と思ってましたが、終わってみれば見事に仮面ライダー、というか石ノ森ヒーローしてました。
・(石ノ森ヒーローにありがちな)同族殺し(※親)
・姉との絆
・忌まわしき秘密(蛮野が父)を仮面で覆い、戦い続ける
・闇(=蛮野)から生まれた存在
・同じく闇から生まれた存在(=チェイス)と友情を結ぶ(≒一文字と本郷の友情オマージュ?)
・スピードを活かして勝利(009オマージュ?)
・同じライダー(ゴルドドライブ)との戦い(BLACKのオマージュ?)
・友の遺した力でパワーアップ(真司ナイトのオマージュ?)
あの時の失言は土下座しておわびいたします、本当に申し訳ありませんでした。
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ここまで成長したのがホントに凄いです。期待を裏切らず、予想を裏切る良い流れでした。
個人的にはこの作品におけるライダーの中では、剛の話が一番良かったかなと思ってます。
・カッコよすぎるオープニング
SURPRISE-DRIVEは歴代でも上位に入るレベルでカッコいいオープニングでした。
松岡充さんを起用したのは大正解と言えるでしょう。
・優秀で誠実なブレン様
脳筋でハート様ラブで嫉妬野郎だったブレン様。
苦労人でネタキャラでヘタレでもありました。
でも、優秀で誠実で優秀で誠実な最期を遂げました。
正直、ライダーで泣いたのは久々でした。ダブルのフィリップとの別れを描いた回並に泣きましたよ・・・
・ハート様
個人的に、ハート様は仲間達の内乱を止められず、最終的に孤独に陥って倒される悲しき最期を迎えるんじゃないかなと思ってました。
しかし、きちんとメディックの同族を叱り、彼女が反省したらちゃんと許してあげる辺りでハート様の株が爆上がりしました。リーダーとしての務めを果たしたことに非常に好感が持てました。もちろん、戦士としての礼儀があったことも、この男の株を上げました。
そして、最終的に孤独になるのは予想通りでしたが、予想していたものとは全く違いました。仲間達は最期まで友情に報いようとした辺りに、ハート様の真摯さが伝わったのではないかと思います。
・綺麗に終わらせた
ヒーローの力を封印し、日常に帰る。
なにげに二期平成ライダーでは初めての展開です。
Wとフォーゼは未だ戦いが続き、オーズとウィザードは旅に出てしまう結末。
対して、本作は兵器にも成りうるドライブの力をちゃんと封印し、悪用されないようにしました。芹沢博士にも通ずる偉業でした。
(その後全く触れられなかった量産型ドライバーの件はなかったことにしておきましょうかwww)
短所
・仁良課長
悪役としては憎まれまくリングで、良いキャラクターとして生きていたと言えるでしょう。
しかし、全体のストーリーから見た場合、やっぱり仁良編は要らなかったなと思います。全体を通して見ると、仁良編を引き伸ばしたせいでチェイスのドラマ部分は大幅に削られた印象があり、結果としてチェイスのキャラクター性を損なったように思われます。
また、結局仁良は単に逮捕されただけで終わり、因果応報を受ける場面がなかったことが、視聴者のフラストレーションを溜めたのも事実でしょう(※死ぬべきだったと言ってるわけではない)
・泊進ノ介のキャラクターが薄い
ほかが濃すぎて、彼独特のドラマが足りなかったです。
父親の件は確かに序盤で僅かに触れていたのですが、掘り下げが薄過ぎて3クールでいきなりピックアップされたときには「???」で感情移入しづらかったです。
少なくとも早瀬との交流の方が、視聴者には印象に残っていたと思います。さらに序盤で彼をピックアップする回があった以上、仁良編(3クール)は父親より早瀬を取り上げて構成した方が自然だったのではないかと思います。
あるいは、序盤で父親の存在についてもっと触れるべきだったかと。
また、彼は確かにまっとうなヒーローモノの主人公で、それは否定できません。しかし、それ故に最初から完成しきっていて成長の余地が少ないんですよね。
怠け者という欠点は最後まで改善されませんでしたし、唯一成長話に生かせそうだった早瀬のトラウマもあまり触れられず、最終回でようやく触れられたという。
故に、進ノ介の成長描写が少なかったのは、本作のテーマであろう『進化もしくは成長』にそぐわないのではないかと思われます。
それでもちゃんと、最終回でちゃんと成長を描いて〆たのは評価できます。
・悪役(ロイミュード)に肩入れしすぎ
本作、というか三条脚本の欠点として、悪役に力を注ぎすぎてしまう、または肩入れし過ぎてしまうというのが挙げられるかと思われます。他作品で言えばアイガロンやドゴルドとか。
確かにチェイスは元プロトドライブだから霧子達が周りに批判されても信用するのは理解できます。
ですが、悪に染まった理由こそあれども、かなりの悪事(少なくともクリムという人間を殺してる)を働いたハート様一同にまで同情的な態度を取るのはちょっとやりすぎかなと。
最終回にハート様にかけた言葉は、「所詮ロイミュードは人間の模倣品に過ぎない」と侮辱してるのと変わりない面もありましたし。
また、072とかメディック改心回が顕著ですが、どうも制作陣そのものが、ロイミュードにやたらと甘いなぁと思うところはありました。ゴルドドライブは言ってみれば、罪をかぶせるために出した悪役とも言えますし。
・警察が無能すぎる
これはストーリーの都合上、警察を有能にしては話を進めづらいので仕方ない部分もあるのですが、クウガの警察と協力する作風がお好きな方にとっては不愉快に見えたかもしれませんね。
・チェイスが中途半端
残念ながらチェイスの成長物語としては、アンクや相川始に比べるとやや中途半端でした。
そもそも、チェイスは「人間を守るようプログラムされている」ため、人間の味方をするのは当たり前なんですよね。
先の人々で言えば、ずうっと終盤の優しい始が最初からそのまんま続いてるような状態です。
もちろん、免許を取るなどの成長を描いたエピソードは確かにありました。しかし、始と了(または一之瀬仁。薄情ギター野郎ね)のような、多くの人と触れ合って成長する話は殆どなかったのが残念な点だと思われます。ゆかりちゃんとか、せっかく仲良くなったんですからもうちょっと交流しとけばよかったのに。
とは言え、剛との友情に関しては上手く描けていました。これは、各話ごとに積み重ねがありましたからね。
・幹部以外の怪人に魅力が少し薄い
予算の都合上、仕方のない面もあったかと思いますが、怪人の少なさは正直鎧武を笑えないレベルでした。
確かに設定上同じ怪人が大量に出るのは理解できますし、その分ストーリーで魅せる努力は評価されますが、使い回しが多かったのは少し残念でした。
072はストーリーの工夫からかなり印象的に残りましたが、それ以外の怪人はちょっと・・・
・戦闘BGMがおざなり
これはウィザードからずっと続いている問題なのですが、戦闘BGMが大事にされていないように思われました。
フォーゼまでは、いずれも戦闘BGMが目立ち、記憶に残るものばかりでした。それが戦闘シーンを盛り上げ、ひいては作品そのものを盛り上げました。
ですが、本作やウィザード、鎧武はいかがでしょう。確かにチェイサーマッハの回や1~9話までは良かったのですが、それ以外は戦闘BGMが印象には残りませんでした。
この点は次作以降、きちんと直していただきたいように思われます。
・巨大メカの活躍が少ない
トライドロンはそこそこ出番がありましたが、仮にも車ライダーを標榜するならば、もっと戦闘面で出番を作っても良かったのではないかと思います。勿論、あんまりにも強くしすぎたらトライドロンだけでいいと言われてしまうので難しいところではありましたが・・・
特にライドブースターは、あれだけりんなさんが推してたのに出番が少なすぎたと思います。
ライドクロッサーも、できればもう少し出番があればよかったのに・・・
総括
一言で言えば、「成長物語」。もっと言えば、「人間と機械生命体の成長物語」。
結構大ざっぱだけど、ちゃんとやるべきことはやった良作でした。
まず、『仮面ライダーマッハ』として見れば神作でした。
父親の悪意に人生を翻弄された青年が仲間と出会い、敵だった者とも奇妙な友情を結び、そして苦悩を乗り越え、成長してゆきました。
ドライブのテーマは、剛の成長物語だったのでもあるのでしょう。
彼だけではなく、メディックやハート様、ブレン様も、形は違えど十分に成長を魅せてくれました。チェイスは機械生命体の枠を出るような成長はなかったものの、友情を結ぶことができました。
しかし、『仮面ライダードライブ』の物語として見た場合どうか。
確かに主人公の進ノ介はまっとうなヒーローモノの主人公で、それは否定できません。しかし、それ故に最初から完成しきっていて成長の余地があまりなかったんですよね。
怠け者という欠点は改善されませんでしたし、唯一成長話に生かせそうだった早瀬のトラウマも最終回でようやく触れられただけに過ぎないという。故に、進ノ介の成長が描かれなかったのは本作のテーマにそぐわないのではないかと思われます。
大雑把だったのは、悪事を働いた人物のその後を描かなかったりとか、
三条陸脚本って、『殺人をしなければ悪人もやり直すチャンスはある』って思想のもと書かれているようなんですよね。
わかりやすいのはアイガロン・ドゴルドが死に、ラッキューロとキャンデリラが生残したキョウリュウジャー。
あと、Wや本作の進ノ介の「ロイミュード被害者発言」やダイの大冒険(バランの辺りとか)を見るに、三条さんは人間という存在が嫌いなのかなぁとも思ってしまったりもします。(逆に井上敏樹御大や會川昇御大は、人間の良いところ悪いところ、全部ひっくるめて愛しているように思えます)
「ロイミュードは人間の悪意をなぞっただけで被害者にすぎない」とか、仮にもロイミュードの悪事を裁くヒーローに言わせてしまう辺りに、その片鱗が見える気がします。
存外、大道克己の「人は皆・・・、悪魔だ」というセリフの方が、三条さんの本音なのかもしれませんね。
個人的には、三条さんは暫く休んで戴きたいと考えています。
彼もまた、小林靖子の如く多用されすぎて、作風を研磨する余裕がなくなっているように思われます(それでも小林氏同様、一定以上の面白さを保ち、未だファンも多いのはさすがプロといったところですが)
文句は散々言いましたが、なんだかんだ言っても前作よりは不快な要素が少なく、一年間安定して楽しむことができました。
スタッフの皆様、乙カーレ様でした!
ストーリー:上の下。序盤あ中盤がややダレ気味でしたが、終盤の盛り上がりが素晴らしいです。
キャラクター:上の上。敵も味方も魅力的な存在ばかりでした。
主人公:中の中。ヒーローとしてはまっとうでしたが、その分やや没個性的でした。
デザイン:中の中。ライダーは普通にかっこいいと思いますが、怪人の使い回しが多すぎます。
戦闘アクション:上の下。チェイサーマッハが一番印象的でした。
総評・上の中ですね。終盤の盛り上げを評価します。
ベスト5
1.44話(ブレン様の死に様に泣きました・・・!)
2.46話(チェイサーマッハが燃える・・・!)
3.9話(タイプテクニック回。子どもを助ける王道ヒーローの話だったのが良かったです)
4.40話(過去を振り切り立ち上がった剛がカッコいい・・・!)
5.24話(剛と霧子の絆、ヒーローのあるべき強さを描いた名回)
ワースト5
1.33話(盛り上がりに欠ける強化フォーム回)
2.1話(最初にしては盛り上がりに欠ける回)
3.27話(変身をためらう進ノ介がなぁ・・・)
4.10話(心臓ぶっこ抜きはやりすぎでは?)
5.特になし
その他おすすめ回
20話(072の悲しい話)
25話(早瀬を守るため戦う進ノ介がかっこいい!)
26話(チェイサーもかっこいいですが、チェイスを叱咤するハート様が漢!)
30話(進ノ介を叱るチェイスがGood!)